こんにちは、都築寛史です。

大相撲とトランプ米大統領。

 これをスポーツ紙はどう伝えたか? これが今回のテーマです。

 あの千秋楽をにぎやかでワイワイとした記事にするのか、それともどこか批評的な視線はあるのか。私は千秋楽翌日(5月27日)のスポーツ新聞全紙を心待ちにしていたのです。

 まず「トランプと大相撲」の情報が新聞で出るにつれ、これは一大事だと思った。

 たとえば、『トランプ大統領 正面升席“占拠”』『観戦予定の夏場所千秋楽 協会が全席確保』(日刊スポーツ5月17日)

 多くの常連客を抱える相撲案内所(通称・お茶屋)の番頭の話として「今場所の千秋楽の正面升は、協会が1枚も下ろしてくれなかった。いつも来ている人からは苦情も出ています」

 一般紙では東京新聞が5月21日に「トランプ氏なぜ升席に」。貴賓席を使わないことに相撲ファンから「迷惑だ」と声が出ていることを伝えた。

安倍首相のサプライズおもてなし。

 そもそも今回の相撲見物(観戦)はどういう経緯で決まったのか。

 毎日新聞の『「初の国賓」首相執着』(5月23日)は、「どうすればトランプ氏の機嫌が良くなるか、さまざまな趣向を凝こらしたい」と昨年秋に安倍首相が外務省らとの勉強会で語ったとし、《官邸関係者は「大相撲観戦も首相のアイデアだった」と明かす。》と報じた。

 なお、初の国賓として招くのは昨年秋の日米首脳会談(アルゼンチン)の時には決まっていたというが、トランプ氏へのサプライズにするためにこのときはまだ黙っていたという。この気づかい、日本スゴイ論である。

 貴賓席ではなくなぜ升席なのか。誰が言いだしたのか? トランプなのか?

《日米関係筋によると、首相が「前の方が迫力がある」と勧めると、トランプ氏は升席からの観戦を熱望。》(時事通信・5月20日)

「貴賓席」ができた経緯。

「貴賓席」については大相撲中継でならした元NHKアナウンサーの杉山邦博氏のコメントが目を引いた。

《貴賓席は相撲好きだった昭和天皇が土俵近くでの観戦を希望したが、警備上の理由で2階に作られた。以来、数々の皇族や各国の要人が貴賓席で観戦。杉山さんは「土俵近くで見たいという昭和天皇のご意向に沿うことができなかった経緯がある。今回はどうして貴賓席ではないのか」と首をかしげた。》(毎日新聞5月27日)

 つまり、トランプ大統領は昭和天皇をあっさり超えてしまったことになる。令和スゴイ。

 それにしてもだ。ふだん伝統を頑なに守るというのが相撲協会のイメージなのに今回はこうもあっさり「伝統破壊」を許すのが不思議だった。政治が絡むと無言になるしかないのだろうか。

 いや、伝統とかそんなカタい話でなく、今回はお客さんが警備の厳しさで入場に時間がかかったり、自動販売機やベビー休憩室も使えなくなったりと大変なことになっていた。相撲って庶民の娯楽のはずである。この様子を見てなんと書くのか。私が千秋楽翌日のスポーツ紙を早く読みたかったのはそういうわけだ。

勢い重視だった新聞各紙。

 5月27日の各紙を見てみよう。一面できたのはスポニチ、日刊スポーツ、サンケイスポーツ。

『国技館“ジャック”!!取組より沸いた!?トランプ場所』(スポニチ)

『国技館を制圧!!座布団投げたら「処罰」 トランプ大統領』(日刊スポーツ)

『国技館総立ち!!トランプ劇場』(サンケイスポーツ)

 一面のノリはこんな感じ。

 一面でないが他紙も、

『トランプ劇場待ったなし』(スポーツ報知)

『いよっトランプ狂騒曲』(デイリースポーツ)

『トランプ大統領 「アサ~ノヤマ」』(東京中日スポーツ)

 ほぼ同じノリ。

 スポーツ紙の紙面は派手さと勢いが大事だ。各紙の見出しは同じ方向だった。

記者たちは「大イベントお疲れ様」

 では「記者の目」はどうだろう。

 意外なことに担当記者が書くコラムはスポーツ報知のみだった。

 金属探知機の前の手荷物検査で「これが飲み物と証明するために開封して、一口飲んでください」と命じられたとし、「こんなに緊張して牛乳を飲んだのは人生で初めてだ。」と書いていた。

 この大一番になぜ牛乳か不思議な読後感があったが、最後は「協会関係者の安堵した表情が忘れられない」とあったのでどちらかと言えば「大イベントお疲れ様」というニュアンスだった。

 相撲担当記者のコラムはこれだけだったが、他紙はそれぞれ「匂わせていた」。

観客、力士たちの声。

 スポニチは社会面で「相撲客から“物言い”升席ソファ、厳重警備『観戦集中できない』」とし、「今後、中国の習近平主席やロシアのプーチン大統領から“私も間近で観戦したい”と要望があれば応じざるを得ないのではないか」との観客の声を載せていた。

 そうだ、「トランプはオーケーであなたはダメ」なんて言いづらい。ほんとどうするんだろう。どこかの大統領さん、そんな要求言うなよ、絶対言うなよ。

 デイリースポーツは「力士からは不満の声も出た」と。ペットボトルの持ち込み禁止が、取組が早い時間の力士には周知徹底されておらず、没収されるケースが続出。花道でのうがいにも使えず、

《あるベテラン力士からは「ルーティンが崩れる。こっちは真剣勝負なんだからね」と話した。》

 ああ、観客どころか力士まで被害を受けていたとは。

優勝が千秋楽までもつれていたら……。

 極めつけはこれ。優勝を前日に決めた朝乃山の弁。

《異様な雰囲気の中、大統領が来場したのは御嶽海との取組直前。朝乃山は土俵下で5分ほど待たされ「遅いな、いつ始まるのかなと思った」。土俵の上では無心で闘ったつもりだが、立ち合いからまわしが引けず、相手の突き、押しに後退し、寄り切られ「大統領杯をもらう立場なのに、大統領の目の前で勝てなかったのは悔しい」と振り返った。》(サンケイスポーツ)

 日刊スポーツには朝乃山の対戦相手の御嶽海の言葉が。

《あれじゃあ(観客が)トランプ大統領を見に来たのか、優勝した朝乃山を見に来たのか分からない。朝乃山がかわいそう」と話した。》

 もし千秋楽まで優勝決定がズレこんでいたらどうなっていたのだろう。大一番をこんな不憫な状況で取らされていたことになる。

 トランプ大相撲、果たしてほんとうにあれでよかったのか?

 もっと相撲担当記者の率直な声を読みたかった。

引用元

https://number.bunshun.jp/articles/-/839494

確かにトランプ大統領を見に来たのか、相撲を見に来たのか正直言ってそうなのかわからないですね。朝乃山が優勝したのに見ているのは、大統領といった光景になりますね。相撲ファンからしたら凄く不評があった気がします。

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